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認知症を知る気づき

認知症の初期症状と「年相応の物忘れ」の違い

公開: 2026年6月12日 / 最終更新: 2026年6月13日

先に、要点だけ

  • 体験の「一部」を忘れるのは年相応。体験「そのもの」を忘れるのは注意したいサイン
  • 火の不始末・支払いの滞りなど生活に実害が出ていたら、様子見せず受診を
  • 迷ったら、地域包括支援センター(無料の公的窓口)に家族だけでも相談できます

「あれ?」と思った、その感覚は大切です

久しぶりに実家に帰ったら、同じ話を3回された。冷蔵庫に同じ調味料が4本あった。几帳面だった父の部屋が、なぜか散らかっている。

そんな小さな違和感から、家族の認知症に気づくことがよくあります。一方で、物忘れは年齢とともに誰にでも増えるもので、物忘れがある=認知症ではありません

このページでは、「年相応の物忘れ」と「受診を考えたい変化」の見分け方を整理します。

いちばん大きな違いは「忘れ方」

○ 年相応の物忘れ

体験の一部を忘れる
例:朝食のメニューを思い出せない

! 注意したい物忘れ

体験そのものを忘れる
例:朝食を食べたこと自体を忘れる

くわしくは、次の表で見比べてみてください。

年相応の物忘れ認知症が疑われる物忘れ
忘れ方体験の一部を忘れる(朝食のメニュー)体験そのものを忘れる(朝食を食べたこと自体)
ヒントあれば思い出せることが多いヒントがあっても思い出しにくい
自覚忘れっぽさを自覚している忘れたこと自体に気づきにくくなる
進み方あまり進行しない少しずつ進行する
生活日常生活に大きな支障はない日常生活に支障が出てくる

たとえば「約束の時間を忘れた」は誰にでもあります。でも「約束したこと自体を忘れていて、指摘しても思い出せない」が繰り返されるなら、それは質の違う変化です。

場面別・家族が気づきやすいサイン

実際の気づきは、生活の場面に現れます。

会話で

  • 同じことを何度も聞く・話す(さっき答えたのに、初めてのように聞く)
  • 「あれ」「それ」が増え、人や物の名前が出てこない
  • 話のつじつまが合わないことがある

家事・買い物で

  • 料理の味付けが変わった、鍋を焦がすことが増えた
  • 同じ食品を何度も買ってくる(冷蔵庫に同じ物が溜まる)
  • 賞味期限切れの食品が増えた

お金・手続きで

  • 通帳や財布をなくす、「盗られた」と家族を疑う
  • 公共料金の払い忘れ、督促状が届いている
  • ATMの操作に戸惑うようになった

様子・性格で

  • 日付や曜日が分からなくなる
  • 趣味や外出への興味を失った、身だしなみに構わなくなった
  • 怒りっぽくなった、ささいなことで不機嫌になる

ひとつ当てはまるだけで認知症と決まるわけではありません。ただ、「いくつも当てはまる」「数か月単位で増えている」なら、注意したい変化です。

受診を考える3つの基準

迷ったら、この3つで考えてみてください。

  1. 体験そのものを忘れることがあるか(ヒントを出しても思い出せない)
  2. 生活に実害が出始めているか(火の消し忘れ、支払いの滞り、薬の飲み忘れ)
  3. 半年前・1年前と比べて、明らかに変化しているか

ひとつでも当てはまるなら、受診を検討するタイミングです。当サイトのセルフチェック(公益社団法人 認知症の人と家族の会の「早期発見のめやす」準拠)も目安になります。

「急に」おかしくなったときは、別の可能性を疑って

ここまでは、年単位でゆっくり進む変化の話です。逆に、数日〜数週間で急におかしくなったときは、認知症よりも先にせん妄・うつ・体の病気(感染・脱水・甲状腺の不調など)・薬の影響を疑ってください。これらは治療で元に戻ることが多いので、見逃さないことが大切です。

特に次のサインがあるときは、様子を見ずに早めの受診を。

  • 急に混乱した、別人のようにぼんやり/興奮する(→ せん妄のことがある)
  • 気分の落ち込み・意欲低下が主で、本人が「もの忘れ」を強く訴える(→ 高齢者のうつ=治療で改善する「仮性認知症」のことがある)
  • 手足の麻痺・ろれつが回らない・急な歩行障害・尿失禁(→ 脳卒中や他の病気のサインのことがある。麻痺やろれつならすぐ119番
  • 頭を打った後から様子が変わった(→ 慢性硬膜下血腫など、治療できることがある)

気づいたことは、いつから・何が・どのくらいの頻度かをスマホにメモしておきましょう。受診のとき、医師にとって最も価値のある情報になります。

知っておきたい「中核症状」と「BPSD」

認知症の症状は2層に分けて考えると理解しやすくなります。

  • 中核症状:脳の働きの低下から直接起こるもの。記憶障害、見当識障害(時間・場所が分からない)、判断力の低下、段取りが組めない(実行機能障害)。
  • BPSD(行動・心理症状):中核症状に不安・体調・環境が重なって二次的に現れるもの。不安、うつ、興奮、妄想(「盗られた」)、ひとり歩きなど。

重要なのは、BPSDは関わり方や環境しだいでやわらげられることが多いという点です。詳しくはBPSDへの向き合い方で解説しています。

よくある質問

Q. 本人に「認知症かもよ」と指摘していい?

直接的な指摘は、本人の不安と反発を招きやすく、おすすめできません。「最近疲れてない?」「一度健康診断に行こうか」など、本人の自尊心を守る形で受診につなげるのが基本です。声かけの工夫にまとめています。

Q. どのくらい様子を見ていい?

生活に実害(火の不始末・支払い滞納・服薬ミスなど)が出ているなら、様子見はせず受診を。実害がなくても、変化が続くようなら数か月以内の受診をおすすめします。「治る認知症」(甲状腺機能低下症など)や他の病気が隠れている可能性もあり、早く分かるほど打てる手が増えます。

Q. もの忘れ以外から始まることはある?

あります。レビー小体型は幻視(ないものが見える)から、前頭側頭型は性格の変化から目立つことがあります。「もの忘れがないから大丈夫」とは限りません。→ 認知症の種類

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※本記事は一般的な情報提供であり、診断に代わるものではありません。気になる症状がある場合は、医療機関にご相談ください。

参考・出典

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