先に、要点だけ
- 介護費用は平均で月9.0万円・期間4年7か月。ただし負担には上限のしくみがあります
- 一般的な所得なら、介護保険の自己負担は実質月44,400円まで(高額介護サービス費)
- 費用は本人の年金・貯蓄から払うのが原則。困ったらケアマネ・市区町村に相談を
まず、平均の実額から
介護のお金の話は、実際の数字から始めるのがいちばん早道です。生命保険文化センターの全国調査(2024年度)によると――
- 月々の介護費用:平均 9.0万円(在宅 5.3万円/施設 13.8万円)
- 一時的な費用(住宅改修・介護ベッド購入など):平均 47.2万円
- 介護期間:平均 55.0か月(4年7か月)。4年を超えた人が約4割
単純に掛け合わせると総額500万円前後という計算になり、不安になるかもしれません。でも、ここからが大事な話です。この負担を抑える公的なしくみがいくつもあり、知っているかどうかで実際の支出は大きく変わります。
それと、最初に原則をひとつ。介護費用は、本人の年金・貯蓄から払うのが基本です。子どもが自分の家計から立て替え続けると共倒れになりかねません。この原則は、ケアマネジャーも同じことを言うはずです。
介護のお金は「3つの財布」で考える
財布①
介護保険の自己負担
デイ・ヘルパー・施設介護など。原則1〜3割
財布②
保険の対象外
施設の食費・居住費、おむつ代、日用品など
財布③
医療費
通院・薬代など
あとで出てくる「月44,400円の上限」は、このうち財布①だけに効きます(②③は別)。ここを混同しないことが、お金の見通しを正しく立てるコツです。
① 介護保険の自己負担のしくみ
介護保険のサービスは、所得に応じて1〜3割の自己負担で使えます(多くの人は1割)。
ただし要介護度ごとに「保険が使える月の上限(区分支給限度基準額)」があります。たとえば要介護3なら月に約27万円分のサービスまでが対象で、1割負担の人なら自己負担は約2.7万円。上限を超えた分は全額自己負担になるため、限られた枠をどう使うかをケアマネジャーが一緒に設計してくれます。
負担を軽くする制度 ― 実額で知る
多くは申請しないと戻ってきません。「対象かも」と思ったら、ケアマネか市区町村の窓口へ。
高額介護サービス費(払い戻しの柱)
1か月の介護保険の自己負担が上限額を超えると、超えた分が戻ってきます。上限額は所得で決まります。
| 所得の目安 | 月の負担上限(世帯) |
|---|---|
| 生活保護・年金収入が特に低い方など | 15,000円(個人) |
| 住民税非課税世帯 | 24,600円 |
| 一般的な所得(課税所得380万円未満) | 44,400円 |
| 課税所得380万〜690万円(年収約770万〜) | 93,000円 |
| 課税所得690万円以上(年収約1,160万〜) | 140,100円 |
たとえば一般的な所得の世帯なら、介護保険サービスの自己負担はどれだけ使っても実質月44,400円まで。「介護破産」のイメージほど青天井ではありません。
ただし、この上限が効くのは介護保険サービスの自己負担分だけです。区分支給限度額を超えて使った分(全額自己負担)・食費・居住費・おむつ代・医療費は、この上限の対象外なので注意してください。なお、高額介護サービス費は2年で時効になります(過去分に心当たりがあれば早めに市区町村へ)。
そのほかの主な軽減制度
| 制度 | 内容 |
|---|---|
| 特定入所者介護サービス費(補足給付) | 住民税非課税世帯で、かつ預貯金等が一定額以下(所得段階に応じ単身で概ね650万〜1,000万円以下、夫婦はそれぞれ+1,000万円)の場合に、特養・老健の食費・部屋代が軽減される。市区町村の「負担限度額認定」で判定 |
| 高額医療・高額介護合算療養費 | 1年間の医療費+介護費の合計が基準を超えた分が戻る |
| 自立支援医療(精神通院医療) | 精神科などへ継続的に通院している場合、申請して認められると医療費の自己負担が原則1割に(指定医療機関での受診・所得に応じた月額上限あり)。対象か主治医・市区町村に確認を |
| 精神障害者保健福祉手帳 | 税の控除・減免など |
| 医療費控除・おむつ代の控除 | 確定申告で税金が戻る場合がある |
| 自治体の独自助成 | 紙おむつ支給・介護用品助成など。市区町村に確認を |
全部を覚える必要はありません。「使える制度が複数ある」とだけ覚えて、ケアマネに「うちが使える制度はありますか」と聞く。それで足ります。
在宅と施設で、こう違う
- 在宅:月平均5.3万円。介護保険の自己負担+おむつ等の実費。家賃・食費は今までの生活費の延長。
- 施設:月平均13.8万円。公的な特養(月6〜15万円目安)は比較的安く、民間の有料老人ホーム(20〜40万円+入居一時金)は高め。詳しくは施設の種類・費用へ。
よくある質問
Q. 親に貯金がありません。介護費用はどうすれば?
所得が低い場合の軽減制度(補足給付・社会福祉法人による軽減・生活保護の介護扶助など)があります。あきらめる前に、地域包括支援センターか市区町村の窓口に率直に相談してください。世帯の状況に応じた組み立てを一緒に考えてくれます。
Q. 子どもが費用を負担すべきですか?
原則は本人のお金で賄います。親の年金額・貯蓄を早めに把握し、その範囲で組めるプランをケアマネと作るのが持続可能な形です。なお、本人の判断能力が下がると口座からお金を動かしにくくなるため、財産の備えも早めに。
Q. 平均500万円と聞いて不安です。
平均はあくまで平均で、期間や要介護度で大きく変わります。そして上で見たとおり、月々の介護保険負担には上限(一般所得で44,400円)があり、軽減制度も重ねられます。漠然と怖がるより、ケアマネと「うちの場合」の見積もりを作るのが安心への近道です。
次に読む
※本記事は一般的な情報提供です。金額・対象・手続きは所得区分・地域・制度改正により異なります。最新の内容は市区町村やケアマネジャーにご確認ください。
参考・出典
LINEで、これからもいっしょに
これからの道のりに、LINEで寄り添います。
いまの段階に合わせた情報を、必要なときにお届けします。
困ったとき、不安なときは、LINEで相談もできます。