先に、要点だけ
- 最初の一歩は地域包括支援センターへの相談。あとは順番に進めば大丈夫
- ケアマネジャーは介護の司令塔で、相談・ケアプラン作成は無料。合わなければ変えられる
- 仕事は辞めない前提で。介護休業(通算93日・給付金67%)は体制づくりの準備期間に使う
ある日突然でも、大丈夫
仕事をして、自分の生活があって。そんな毎日のなかで、ある日突然「親が認知症かもしれない」「認知症と診断された」と知らされる。何の準備もないまま、急に始まる——多くの人が、同じ状況からスタートします。
最初に知っておいてほしいのは、介護はあなた一人で背負うものではないということ。日本には、家族を支えるための公的なしくみがあります。問題は、そのしくみが分かりにくいこと。聞き慣れない言葉(要介護認定、地域包括、ケアマネ…)が次々に出てきて、混乱します。
このページは、その全体像を整理してお見せします。順番に読めば、「誰に・何を・どの順で頼ればいいか」が分かります。
1. まず全体像 ― 支援が始まるまでの流れ
介護のしくみは、おおまかに次の順番で進みます。この地図さえ持っていれば、迷いません。
介護サービスが始まるまでの流れ
各ステップの中身は、次のとおりです。
- 地域包括支援センターに相談する(最初の窓口・無料)
- 介護保険を申請する(市区町村の窓口、または地域包括が代行)
- 要介護認定を受ける(調査と判定。原則30日以内だが、実際はそれ以上かかる地域も。なお、急ぐ場合は「暫定ケアプラン」で認定結果を待たずにサービスを使い始められることがあり、利用分は申請日にさかのぼって保険対象になります。ケアマネに相談を)
- ケアマネジャーを決める(要介護1以上の場合)
- ケアプランをつくる(ケアマネが、本人に合った計画を)
- サービスを使い始める(デイサービス、訪問介護、施設など)
最初の一歩は、①地域包括支援センターへの相談です。ここがすべての入り口になります。「何から始めればいいか分からない」――その一言で大丈夫です。どこにあるか・どう連絡するかは 地域包括支援センターの探し方・連絡のしかた をご覧ください。
お探しの段階が「受診前」「診断直後」の方は、先に はじめての方へ(最初にやることガイド) をご覧ください。
2. 登場人物 ― 誰が何をしてくれる人か
介護では、いろいろな立場の人が出てきます。混乱しないよう、役割で整理しておきましょう。
| 登場人物 | どんな人・どこにいる | してくれること | お金 |
|---|---|---|---|
| 地域包括支援センター | 高齢者の総合相談窓口。市区町村ごとに設置 | 何でも最初の相談。介護保険申請の手伝い、制度の案内 | 無料 |
| 市区町村の介護保険窓口 | 役所の介護保険担当課 | 介護保険の申請受付、認定 | 無料 |
| 主治医(かかりつけ医) | いつもの病院 | 診断、認定に必要な「主治医意見書」 | 受診料 |
| ケアマネジャー | 居宅介護支援事業所に所属 | 介護の司令塔。ケアプラン作成・サービス調整・相談相手 | 無料 |
| サービス事業者 | デイサービス・訪問介護など | 実際の介護サービスを提供 | 原則1〜3割負担 |
ポイントは、相談の入り口(地域包括)と、相談・計画づくり(ケアマネ)は無料だということ。お金がかかるのは、実際に使うサービスの部分です。
3. ケアマネジャーとは ― 介護の「司令塔」であり、あなたの相談相手
働きながら介護をするあなたにとって、いちばん頼りになるのがケアマネジャー(介護支援専門員)です。ここはしっかり整理しておきましょう。
いつ・どう登場するか
要介護認定で「要介護1〜5」が出ると、ケアマネを決める段階になります(「要支援」の場合は地域包括支援センターが担当します)。ケアマネは居宅介護支援事業所に所属していて、その事業所を選ぶことで担当が決まります。どこを選べばいいか分からなければ、地域包括支援センターが紹介してくれます。
何をしてくれるか
- ケアプラン(介護の計画)をつくる ― 本人の状態・希望・家族の事情に合わせて、どのサービスをどう使うか設計してくれます。
- サービスの手配・調整 ― デイサービスや訪問介護などの事業者との連絡・調整を代行。
- 相談相手になる ― 困りごと全般の相談窓口。施設を探すときの相談にも乗ってくれます。
- 見守りと見直し ― 定期的に様子を確認し、状態の変化に合わせて計画を直します。
費用は ― 無料です
意外と知られていませんが、ケアマネへの相談やケアプラン作成は、利用者の自己負担がありません(全額が介護保険から支払われます)。お金の心配なく頼れる存在です。
選び方・付き合い方の3つのコツ
- 「認知症に詳しい人を」と希望していい ― 紹介してもらうとき、認知症の対応経験があるか尋ねて構いません。
- 合わなければ、変えられる ― ケアマネは途中で変更できます。相性は大切。我慢する必要はありません(地域包括や事業所に相談を)。
- 働いていることを、最初に伝える ― 「平日日中は連絡が取りにくい」「遠方に住んでいる」など、あなたの事情を共有しておくと、それを前提に計画を立ててくれます。遠慮はいりません。
4. 働きながら介護するあなたへ ― 仕事との両立制度
「仕事を辞めるしかないのか」と思いつめる前に、使える制度があります。介護離職は、その後の生活にも響きます。まずは制度と地域包括への相談を。
| 制度 | 内容 |
|---|---|
| 介護休業 | 対象家族1人につき、通算93日まで。3回まで分けて取得できる。 |
| 介護休業給付金 | 雇用保険から、休業前賃金の約67%が支給される(上限あり)。 |
| 介護休暇 | 年5日まで(対象家族が2人以上なら10日)。通院の付き添いなどに。有給か無給かは勤務先の規定によります。 |
介護休業は「自分が介護に専念するための休み」というより、介護の体制を整えるための準備期間と考えるのがコツです。この93日で、地域包括やケアマネと体制をつくり、仕事に戻れる形をめざします。
勤務先の人事・総務にも、早めに相談しておきましょう。
5. 今日できること
全体像が分かったら、最初の一歩はとてもシンプルです。
- 今日:お住まい(親が住む地域)の地域包括支援センターを調べて、電話してみる。
- 今週:介護保険の申請について聞く(地域包括が手伝ってくれます)。
- 今月:勤務先に、仕事と介護の両立制度について相談する。
よくある不安
Q. お金が心配です。 A. 入り口(地域包括)とケアマネ(相談・計画)は無料です。サービス利用は原則1〜3割負担で、負担を軽くする制度もあります。→ お金・制度
Q. 仕事は辞めるべき? A. まずは辞めずに、制度(介護休業など)と地域包括・ケアマネに相談を。体制をつくれば、働きながら続けられる場合が多くあります。
Q. 親と離れて暮らしています。 A. 遠距離でも大丈夫です。親が住む地域の地域包括支援センターが拠点になります。その事情をケアマネに伝えれば、それを前提に計画してくれます。
※本記事は一般的な情報提供であり、個別の制度の適用や手続きの詳細は、お住まいの市区町村・地域包括支援センター・勤務先にご確認ください。
参考・出典
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