つらいテーマですが、備えておくと、後悔が減ります
認知症が進み、終末期が近づくこと――考えるのもつらいかもしれません。でも、前もって少し知っておくことで、いざというときに慌てず、本人の望む形に近づけられます。読むのがつらいときは、無理せず、必要になったときにまた開いてください。
いちばん大切なのは、本人の意思
終末期には、「どこで過ごすか」「どんな医療を受けるか(受けないか)」といった選択が出てきます。このとき軸になるのが、本人がどうしたいかです。
認知症が進むと、本人が自分の希望を伝えにくくなります。だからこそ、話せるうちに、希望を聞いておくことが大切です。これを「人生会議(ACP)」と呼びます。元気なうちから、少しずつでかまいません。
具体的には、次のようなことを、本人の意思を軸に、医療・ケアの専門職と話し合っておきます。
- 食べられなくなったときの人工的な栄養・水分(点滴・鼻からの管・胃ろうをするか、しないか)
- 急変したときに救急車を呼ぶか・入院するか
- 心臓や呼吸が止まったときの心肺蘇生をするか
どれにも唯一の正解はありません。大切なのは「本人だったらどうしてほしいと言うだろうか」を中心に、家族だけで抱え込まず専門職と決めていくことです。
ご本人が、自分の希望を残しておく方法は 自分の希望を残す でご紹介しています。
看取りの場所を考える
過ごす場所には、いくつかの選択肢があります。正解はなく、本人の希望・家族の状況・医療やケアの体制で選びます。
- 自宅:住み慣れた場所で。訪問診療・訪問看護などの在宅医療で支えます。
- 施設:入居している施設で看取りに対応してもらえる場合があります(事前に確認を)。
- 病院:医療的な対応が必要なとき。
どれを選ぶ場合も、主治医・訪問看護・ケアマネジャーとよく相談しましょう。一人で決めなくて大丈夫です。
終末期に現れる変化
終末期には、食事や水分が取りにくくなる、眠っている時間が増える、といった変化が現れます。これは自然な経過のことが多く、無理に食べさせることが、本人にとってよいとは限りません。何がご本人にとって楽か、医療・ケアの専門職と相談しながら、苦痛をやわらげるケアを中心に考えていきます。
食事のときにむせる・声がガラガラする・食後にぐったりする・微熱が続くといったサインは、誤嚥(食べ物や唾液が気管に入ること)や誤嚥性肺炎の兆候のことがあります。気づいたら主治医・訪問看護に相談を。「食べさせないこと」は見殺しではありません。終末期に体が食べ物を受けつけなくなるのは自然な経過で、本人を苦しめないための選択でもあります。
もしものとき、どこに連絡するか
在宅で看取ると決めている場合、呼吸が止まったときに反射的に救急車(119番)を呼ぶと、本人が望まなかった心肺蘇生や搬送につながることがあります。あらかじめ次を決めて、連絡先を電話のそばや冷蔵庫に貼っておきましょう。
- 急変・看取りのときは、まず訪問看護ステーション・在宅医(往診医)に連絡する
- 死亡の確認(死亡診断)は、在宅医が行う(救急車では死亡確認はできません)
- 夜間・休日の連絡先を、在宅医・訪問看護とあらかじめ確認しておく
「どう動けばいいか分からない」不安は、この準備で大きく減らせます。迷ったら、訪問看護やケアマネジャーに「もしものときの動き方」を前もって聞いておいてください。
後悔しないために
「あれでよかったのか」と、後から思うことは、誰にでもあります。完璧な看取りはありません。そのときできる精いっぱいで、十分です。
- 迷ったら、専門職に相談する
- 本人にかける言葉を、惜しまない(声は最後まで届いているかもしれません)
- 家族だけで抱えず、支えを借りる
看取りのあとに
介護を終えたあとには、また別の気持ちが訪れます。そのことは、介護を終えたあなたへ でお伝えしています。
※本記事は一般的な情報提供であり、診断・治療に代わるものではありません。終末期の医療・ケアの判断は、必ず主治医など専門職にご相談ください。
参考・出典
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